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2013年7月16日火曜日

関東は渇水の危機?関東の今夏の水不足について考えてみた。

※この記事は、天気や低水管理について素人である星野夕陽が自分の考えをまとめる為に執筆したものです。責任は持てませんので、参考程度にとどめておいて下さい。

※「関東は渇水の危機?関東の今夏の水不足について考えてみた。」←2013年7月の水不足について考察しています。こちらも併せてどうぞ

ここ最近、関東地方では雨がとても少ないです。各社のニュースでも少雨・渇水について取り上げられるようになりました。しかし、テレビや新聞では、具体的な内容に欠け、渇水に対して不安を煽るだけの報道が多いように見受けられます。
関東地方は雨の少ない状態が続き、利根川水系のダムの貯水量がこの時期としては過去最低となっていることから、関東地方の1都5県などで作る渇水対策連絡協議会は、今後まとまった雨が降らなければ「取水制限」の実施について検討することを決めました。

ここでひとつ、利根川上流ダム群の貯水の運用方法と過去の渇水を比較し、状況を正しく認識するために情報を整理して、今後を予想してみます。



渇水について見ていく前に、まず、利根川上流ダム群は平年にどのような運用をしているかを理解しましょう。

利根川上流ダム群の貯水運用

平年の貯水運用グラフ


10~12月

農業用水の需要減少と秋雨前線の影響により、貯水量は増加します。

1~3月

冬は雨が少ないため、下流への用水補給(河川維持・上水道用水・工業用水など)のためダムから放流します

4~5月

上流にある山々へ冬の間に積もった雪が気温上昇と共に融け、雪解け水となりダムへ貯めこまれます。利根川上流のダムでは平年で5月頃に、雪解け水で満水になります。

6~7月

水田で稲の作付などのために大量の水が下流で必要になります。そのためダムから大量の水を放流(かんがい用水の補給)します。

7~9月

梅雨と台風で大雨が降る場合があるので、※洪水対策のためにダムの貯水量を減らします。
洪水で一時的に貯水量が増えた場合は、下流が洪水にならないように放流をします。
また、この時期も水田では多くの水を使うため、かんがい用水の補給量も増大します。


雨の多い時期に水位を下げて運用する方法を「制限水位方式」と言います。時期と合わせて、低い水位の事を「夏期制限水位」「洪水期制限水位」など、ダムによって言い方が違う場合があります。また、矢木沢ダムのように年間通して貯めて良い水位が変わらない運用をする「オールサーチャージ方式」のダムもあります。

雨が少ない年は?

台風があまり来なかったり、空梅雨だったりした年の貯水運用はどうなるでしょう?
降水量が少ない時の貯水運用グラフ

平年では大雨が多い7~9月に雨が降らない場合でも、かんがい用水の補給は必要なので大きく貯水量を減らす事になります。この事から、関東では梅雨と台風で雨がある程度降らないと渇水に見舞われる可能性が常につきまとっている事が分かります。


実は、今年は平年と大きく異なる点がもう1つあります。

平成25年 04月23日

利根川上流の6ダムがほぼ満水となりました

利根川ダム統合管理事務所

 首都圏の1都5県(東京都、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県)の水源となっている利根川上流8ダムのうち、6ダム(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、草木ダム)が、4月23日0時にほぼ満水となりました。
 この結果、上記の6ダムに、下久保ダム、渡良瀬貯水池を含めた、利根川上流8ダムの合計貯水量は3億9,537万立方メートルとなりました。

今年も無事、利根川上流6ダムでは雪解け水によりほぼ満水になりました。

何もおかしな所が内容に見えますが・・・もう一度先ほどのグラフを見てみましょう。

平年では5月中旬~下旬に雪解け水で満水のピークを迎えます。

報道記者発表資料の日付を見てみましょう。なんと4/23です。

平年よりも1ヶ月近くも満水を迎えるのが早いです。

平年では5月のゴールデンウィーク頃に奈良俣ダムが満水となり、5月中~下旬に矢木沢ダムが満水になる傾向にありますが、今年は春になって気温が上がるのが早く降水量が多かったため、雪解けが平年よりも早く進行した事が原因と思われます。

このため、貯水量のピークから減り始める時期が早まっています。

降水量を見てみる。

7/12 0時現在

※平成25年7月は7/12現在の数字です。平成6年と平年は7月一杯の降水量の数字です。

この表から分かる事は
  • 5月の降水量が極端に少ない。
  • 雪解けを促進した4月は降水量が多い。
  • 6月は平年に近い降水量。
この3点です。

次に、利根川ダム群の貯水量を見てみましょう。

利根川上流ダム群の貯水量

利根川上流ダム群の貯水量変移

ポイントをグラフに書き込みました。
  1. 雪解け水で貯水量のピークを迎えているが、下久保ダムと渡良瀬遊水地が満水になっていないために、利根川上流ダム群全体では満水になっていない
  2. 他の年ではだいたい5月中旬~下旬に貯水量のピークを迎えている。
  3. 5月~6月上旬の少雨と、下流への農業用水の補給のため貯水量を大きく減らしている
  4. 気圧やゲリラ豪雨の影響で、貯水量が横ばいに変移している。

ここまでで、利根川のダムはどのような運用をしているか?今年の状況はどうなのか?ある程度分かってもらえたと思います。



次に「渇水対策連絡協議会」について。

渇水対策連絡協議会って何?

関東地方は雨の少ない状態が続き、利根川水系のダムの貯水量がこの時期としては過去最低となっていることから、関東地方の1都5県などで作る渇水対策連絡協議会は、今後まとまった雨が降らなければ「取水制限」の実施について検討することを決めました。

このニュースに書いてある「渇水対策連絡協議会って何をする会なのか?

噛み砕いて言うと「貯水量が少なすぎるかも?どうする?」って話し合いをして水の分配の調整する会です。

利根川水系だと、国交省・経産省・農水省・水資源機構・東京都・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県・栃木県、それぞれの代表者が集まって話し合いをします。

ちなみに、7/11に第3回が行われました
第3回利根川水系渇水対策連絡協議会幹事会(臨時)の開催結果
今後の対応
・ダム等の水資源開発施設については、引き続ききめ細かな運用を行っていきます。
・関係機関と連携して節水対策等の取り組みを実施するとともに、状況によって機動的な対応を行っていきます。
・今後、ダムの貯水量等の状況によっては、早ければ来週改めて、更なる対応について協議します。 

何を書いているか噛み砕いて書くと

  • 細かく運用して一滴の水も無駄にしないよう頑張るよ!
  • 節水も頑張る!
  • 今回は様子見にするけど、来週でも状況が改善されなかったら取水制限するか考える

というような具合です。


次に、平成6年の渇水と比較して今後どうなるか予想してみましょう。

今後は?


貯水量の変移を見てみると、7/12現在で平成6年とほぼ同じ貯水量になっています。


平成6年の場合、7/22から取水制限が始まり、7/29~9/8に最大15%の給水制限が実施され9/19の取水制限が解除されています。

今後、さらなる貯水量低下が進めば、平成6年と同様に今年も取水制限が実施される事になるでしょう。ちなみに、僕の私見では今週中にまとまった雨、もしくは、まとまった雨が降りそうな予報が無ければ第4回が開催されて、取水制限をどうするか検討する事になりそうです。

まとめ

平年より雨が少なくダムの貯水量が減少している現在では、渇水・水不足になりかけているのは事実です。ひとりひとりが意識して、節水し、状況の悪化を防ぐ事が大事。水は生活に欠かせない資源であると共に限られた資源でもありますので、無限にあると思わず大事に使いましょう。



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